NA(ナショナルアービター)の資格取得の試み

NA(ナショナルアービター)の資格取得の試み

またもや久しぶりの更新になってしまいました。今年は、公私ともにいろいろな出来事があり、少しチェスに集中できない状況が続いておりまして…(いいわけ)。シニア選手権やチーム選手権に参加しましたが、あまりいい試合はできておりませんでした。今回は少し志向を変えて、NA(ナショナルアービター)の資格を取得してみようと思った次第です。

NA(ナショナルアービター)とは?

FIDEが定めるチェスの審判資格で、制度は各国連盟に委ねられているものです。日本においては、今年5月に制度が新設されました。NA資格を持つことで、日本国内でFIDE戦の大会を開催することができたり、FA(FIDEアービター)を取得するための布石とすることができます。この資格を得るためには、日本チェス連盟の主催するNAセミナーを受講し、試験に合格する必要があります。

*詳細は、JCFのナショナルアービター制度開設のお知らせのページ、をご参照ください。

NAセミナーでどういうことをしたか

第2回NAセミナーは10月20日(日)に行われました。講師はFIDEアービターの岡部さんで、サポートに同じくFAの阿部さんがつく形でした。Zoomを利用したWeb会議方式で、PowerPointを使用したプレゼンテーションを見るのですが、10時から18時まで休憩を1時間ほど挟んで缶詰状態。学会のイメージに近いですが、学会よりも眠くならずに、しっかり勉強できたと思います!

もう40年くらいチェスをやっているし、大会にも参加しているので、知らないルールはないだろうと思っていた部分もありますが、細かい部分はあまり理解していなかったんだなあ、というのが正直な感想です。例えば、「3回同一局面や50手ルールによる引き分けはプレーヤーが正しい手順で申請しないとドローにならない」のですけどそれぞれ、「5回同一局面、75手まで局面が進めば、アービターが強制的に引き分けを宣告できる」のは知りませんでしたし、「ポーンをプロモーションさせるときに、2個のポーンをマスにおいてクイーン扱いする(昔ブリッツでよくやってた!)」のはイリーガルムーブ「プロモーションの際に、ルークを逆さまにおいてしまうと、クイーンと言っても実際はルーク扱いになる」なども知らないことでした。また会場の設営の仕方、チェスクロックの置き方にも一定のルールがあり、適当にやっているわけではない、というのも目から鱗が落ちる感じでした。

棋譜の記載法、タッチアンドムーブ、着手が成立するタイミング、ドローの申請のしかた、何がイリーガルムーブになるか、などのことはプレーヤーも本来知っておかないといけないことですし、仮に審判員をやらない方でも知っておいて損はない話でした。こういうややこしい話やルールを、質疑応答を交えながらFAの岡部さんが、明快に説明してくださいました。

NA認定試験

セミナーの1週間後に認定試験がありました。制限時間は1時間で選択式と記述式の問題があり、グーグルフォームで回答する形です。資料は見ながら解答していい形式でしたが、全部を調べながら解答していてはとても時間が足らず、普段の大会参加時のことを思い出しながら解答した問題もありましたし、記述問題は問題の言葉尻をよく捉えて答えないと間違えてしまう感じのものが多かったように思います。最後の問題が、相手の応手も含めて、必然手の連続でメイト勝ちできそうな状態のプレーヤーが駒を置いたあと時計を押す前に時間落ちした、という状況でどう裁定するかを問う問題でしたが、最後で時間も無く、ちょっと思考が混乱したまま回答して、間違えた気がします…(本当に間違えたのかもわからない)。自分がどこで間違えて何点だったかなどは公表されないとのことですが、すごく興味はありますねー。

無事合格したみたいです

先日、日本チェス連盟のホームページ上で結果発表があり、なんとか合格していたようでした。合格者は5名と言うことで、やっぱり試験が難しかったようです。とにもかくにも、アービターの資格を取得できたので、試合中の振る舞いに多少自信が持てそうですし、都合があうときには、大会運営のお手伝いなど、今まで以上にチェスに深く携わっていけたらなあと思います。

自分としては、チェスの大会に出るプレーヤーは必見のセミナーと思いますが、10000円という参加料(自分は中野チェスクラブの副リーダーという立場を利用して、7000円)と最終的な合格率を勘案すると、少し抵抗感のある方もいるかも知れないですね。どのくらいの頻度でNAセミナーが開催されるかわかりませんが、興味ある方は次回以降のNAセミナーへの参加を検討してみてください。

ちなみにFIDEの Arbiter’s Commission というページがありまして、こちらでアービターのハンドブックや制度などがご覧いただけます。英語が得意でご興味のある方はどうぞー。

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