全日本チェス選手権全国大会から1局

さて、全日本が終わって、まだ疲れがとれない状態ですが、自分のベストゲームと思われる試合を紹介します。第10局、格上のMitsuya選手とあたりました。ここでポイントを取ると勝ち越しになる大事な試合で、地味に戦略が功を奏し、勝てるか!?と思ったんですけどねえ…。

□Mitsuya Naoto (2102)
Higashishiba Teruomi (1977)
2017 All Japan (10), 05.05.2017

1.e4 Nf6  2.e5 Nd5  3.d4 d6  4.Nf3 dxe5[Alekhine Defenceですが、この手はCarlsenが採用したりして、最近人気の手です。]  5.Nxe5 c6  6.Be2 Bf5  7.0-0 Nd7  8.Nf3 e6  9.a3 Be7[Bd6の方が良さそう。10.c4?!に対して、Nf4と行けるのがミソ。] 10.c4 N5f6  11.Nc3 0-0  12.h3?![目的に乏しく、Be3などの方が良さそうです。] Ne4[白からのd5突きを押さえる目的がありました。]  13.Nxe4 Bxe4  14.Be3 Bf6  15.Qd2 Qc7  16.Ng5  Bg6  17.Bd3 Rfd8  18.Bxg6 hxg6

さて、この時点でのポーンストラクチャーだけ抜き出してみると、以下のようになります。

さて、好みもあると思いますが、うまく指せば、私は黒の方がいいと思いました。黒は低く構えていて、堅い陣形であるのに対して、白は中央を抑えていますが、d4のポーンはポーンで守る手段がなく、ピースで守るしかないので、弱点ともいえます。またc4のポーンがなくなると、d5にアウトポスト(攻撃されにくい前哨地点、拠点)ができます。
というわけで、私の方針は①d5をつかせる前にdファイルにルークを重ねる。②駒が減ると黒の方がいいかも。という感じでした。

 19.Ne4 Be7  20.Qe2 Nf6  21.Nc3 Rd7  22.Rac1 Qa5[クイーンサイドにいきたいわけではありません]  23.Qc2 Qf5!?[交換しなければしないで、いい位置をキープできます] 24.Rfd1 a6  25.Qxf5 gxf5  26.Na4 Re8  27.Nb6 Rdd8  28.Bf4?! Nd7  29.Bc7 Nxb6  30.Bxb6 Rd7  31.Rc2 Bd8![ルークを重ねるのに邪魔なビショップを排除します] 32.Bc5 Bc7  33.Rcd2 Red8=+[目的を達成した黒の方が指しやすくなりました] 34.Bb4 b6  35.a4?[g3と次の手を防ぐ必要がありました] Bf4  36.Rd3 c5  37.g3 Be5  38.Bc3 Bxd4  39.Kg2-+[いい形でポーンをかすめ取り、黒優勢です]39. … e5?![39. … a5!  40.Kf1 f6となれば本譜のような紛れがなかったですね。] 40.a5! bxa5  41.Bxa5 Rb8  42.Bc3 Rb3?!  43.Ra1 Rd6  44.Rdd1 Rc6  45.Rdc1 f6[Rxb2!?と指すべきでした。さすがに2ポーンアップだと勝てそうです。] 46.g4 fxg4  47.hxg4 Kf7  48.Kf3 Ke6 49.Rc2 g6  50.Ke2 Rcb6  51.Kd3 Rd6  52.Ke2 e4  53.Ra5 Rc6  54.Rc154. … Rb7[ここが最後のチャンスだったかも。54. … Ke5  55.Bxd4 Kxd4  56.Rd1+ Rd3など]  55.Rca1 Rbb6  56.f3 Bxc3  57.bxc3 Rb2+  58.Ke3 Rc2  59.Kxe4 Rxc3  60.R1a4 Kd6  61.f4 Ke6  62.f5+ gxf5+  63.gxf5+ Kd6  64.Kf4 Rb6  65.Kg4 Kc6  66.Kf4 Kd6  67.Ke4 Kc6  68.Kf4 Kd6[無理をすると2ポーンとられて、危なくなりそうです]  1/2-1/2

後半は、さすが元オリンピアード代表というべきか、中盤の目標を達成してからの黒の指し方が下手すぎたというか、中盤のアドバンテージを生かせず、引き分けにしてしまいました。ルークの使い方などを勉強しないといけませんね。

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