初心者が学ぶべき定跡②ーシシリアンディフェンスー
1手目e4に対しての応手として、おそらく一番多く見られるのが、1. … c5、シシリアンディフェンスです。いろいろなバリエーションがありますが、白はセンター、キングサイドでの優位性を主張しようとするのに対し、黒はクイーンサイドからのカウンターを狙います。
大きく分けると、白が3手目でd4とつくオープンシシリアンとつかないクローズドシシリアンがあり、基本的にはオープンシシリアンの方が主流でしたが、最近はクローズドシシリアン、アンチシシリアンもよく見かけるようになりました。
私自身は、e4プレイヤーなので、シシリアンディフェンス対策は不可欠ですから、一通りは指せる(と思う)のですが、あまり好きな戦法ではないので、自分が黒の時には指したことはありません。多数の人が指すということはそれだけ研究もされているので、かなり先の手数まで定跡を覚えないといけませんし、「攻め合い」の要点を知っていないと、白でも黒でも、一方的につぶされてしまう可能性があります。
シシリアンディフェンスに限らず、白黒が同じ側にキャスリングした場合、お互いが徐々に駒の位置を改善したり、陣形を固めていくような比較的ゆっくりした変化になるのに対し、お互い逆側にキャスリングした場合は、攻め合いになり、派手なタクティクスが決まるような変化になることが多いです。
以前、アンチシシリアンの試合は1つ記事を書きましたので、今回はオープンシシリアンの試合を見ていこうと思います。1974年のカスパロフとスパスキーの試合で、おとなしい感じの変化ですが、白の基本的な駒組みなどがわかりやすくていいと思います。
シシリアンディフェンスを学ぶのに、自分がいいと思った洋書も紹介しておきます。ただ、あくまで白番の人向けの対策本なので、黒でシシリアンディフェンスを指す方はほかの本を探した方がよいかもですね(苦笑)
Slay the Sicilian! (英語) Timothy Taylor (著)
2012年の発刊ですから、最新の試合は載っていませんが、内容的には十分だと思います。現在Amazonでは在庫がないようですが、Kindle版でしたら、約半額で読めますよ!
□Anatoly Karpov
■Boris Spassky
1974.05.03 Karpov – Spassky Candidates Semifinal
1. e4 c5 2. Nf3 e6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 d6[手順前後してScheveningen Variationになりました。黒は低く構えておいて、将来的にはe5やd5で中央を攻撃するプランです。] 6. Be2 Be7 7. O-O O-O 8. f4[Scheveningen Variationに対する白の駒組みの基本形です。]8. … Nc6[どちらかというと最近はa6の方が主流になっています。a6→b5orb6→Bb7という感じの駒組みでしょうか。] 9. Be3 Bd7 10. Nb3 a5 11. a4 Nb4 12. Bf3 Bc6 13. Nd4 g6[ナイトがf5に跳ねないようにしますが、この時点で白はセンターをがっちり押さえ駒の働きもいいため、やや指しやすくなっています。]14. Rf2 e5 15. Nxc6 bxc6 16. fxe5 dxe5 17. Qf1 Qc8 18. h3 Nd7 19. Bg4![次にBc5で黒マスビショップを交換されるのは白にはうれしくありませんので、ナイトをピンにします。]19. … h5 20. Bxd7 Qxd7 21. Qc4 Bh4 22. Rd2 Qe7 23. Rf1 Rfd8 24. Nb1![ここにナイトが引くのはちょっと思いつきにくいのですが、e2に動いてもその先に行くマスがありません。b1→d2→f3とマヌーバリングします。]24. … Qb7 25. Kh2 Kg7 26. c3 Na6 27. Re2 Rf8 28. Nd2 Bd8 29. Nf3 f6 30. Rd2 Be7 31. Qe6 Rad8 32. Rxd8 Bxd8[Rxd8は33.Nxe5!でfファイルからの攻撃が厳しいです。]33. Rd1 Nb8 34. Bc5 Rh8 35. Rxd8 1-0
ちなみにシシリアンでf4を突くときは多少注意が必要です、d6のポーンがなく、ビショップが出られるような形では、d4のナイトをただ取られる可能性があります。以下は実際に全日本選手権であった試合です…。
10.f4?? Nxd4[クイーンでナイトを取り返すとBc5で串刺しです!] 0-1
シシリアンディフェンスの他の変化の紹介
シシリアンディフェンスの一変化(ロッソリモ・バリエーション)
IVLに参加しました(モスコー・バリエーション)
初心者が学ぶべき定跡シリーズ
初心者が学ぶべき定跡①ールイロペスー
初心者が学ぶべき定跡③ーカロカンディフェンスー
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