リザイン(投了)やドロー(引き分け)オファーのタイミング

さて、百傑戦も終わって、ぼーっとしていたところですけど、今日、ヤフーニュースを見ていたら、気になる記事が。

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必然的な手筋で勝っていたのに、投了してしまったのですから、悔しさ倍増ですよね。でも、数手先の勝ちが見えていないということは珍しいことではなく、むしろ、毎試合ごとに起こるようなことです。勝ち筋を読めていないのですから、間違えた手をさすか、投了してしまったかの違いで、どちらにしても結果には違いがなかったでしょう。

百傑戦の自分の試合でも、投了のタイミングを考えた試合があったので、今日はこのテーマを書いてみようと思います。

いつ投了するか

チェスでは投了のことはリザイン(resign)と言います。負けを認めて、試合を中途で終わりにする行為です。局面が勝っているか負けているかは関係ありません。また、最後の最後まで試合を継続する(例えばチェックメイトで終了)事の方がむしろ珍しいので、そのタイミングを列挙してみますが、

  • 明確なメイトへの筋道が見えて、回避できそうにない。
  • 駒数に大きな差ができて、逆転できそうにない。
  • 明らかな見落としがあって、駒損した。
  • やる気がなくなった(戦意喪失)。

また、棋力の差も、リザインのタイミングにある程度影響します。例えば自分がGM相手にピースダウンしてしまった場合は、「さすがに無理だろう」ということで、リザインするでしょうが、実力差がある下位のプレイヤー相手だと、局面次第ですが、あまり即リザインはしないと思います。

ここでリザインしないのは相手に失礼だ、という人もいるかも知れませんが、いつだと失礼というのはないですので、メイトまでやりたかったらやるもありです。特に経験の少ないうちは、少しの駒損でリザインしていたら、試合がすぐ終わってしまいますし、終盤の経験もなかなかできないですので、教えてもらうつもりで続けるのもありでしょう。

ちなみに下図は、百傑戦最終戦、Higashishiba-Ogasa戦の局面ですが、

すでに黒は、駒損していますが、相手の方は「メイトが回避できない」と考えて、早々にリザインしました。実際はどうかというと、確かに黒はKg8とする位でhポーンを取られますし、クイーンサイドからのカウンターもだめそうですので、結果的にはリザインでもいいと思うのですが、白が間違えれば、クイーンサイドのポーンが落ちて、ちょっと危ない感じですね。お互いがそこまで読み切れていないのであれば、「リザインするのはもったいない」と言うことになります。


ドローオファー(引き分けの提案)のタイミング

こちらはリザインよりもちょっと難しいです。将棋にはないルールですが、チェスの試合ではかなりの割合で起きることです。ルール上のドローは抜きにして、実際のケースを挙げてみると、

  • 駒割が同一、かつ、局面も全く均衡していてあまり続ける意味がなさそう。
  • 駒数では負けているが、強制的な手筋で、引き分けにできるのが分かったとき。
  • 相手が下位者、かつ、試合の結果に関係なく大会優勝が決まっているとき。
  • 相手が有利だが、相手の残り時間が切迫している時。
  • 自分の方が有利だが、勝てる自信が無いので …などなど。

そういえば、今回の百傑戦の1日コースでは、

私が直接聞いたわけではないですが、一日コース(指し切り)で持ち時間が2分を切った優位な方のプレーヤーは5秒/1手が加算されるように要求できるというFIDEルールが適用されたそうです。これは非常に良い変化です。

Kawanakaさんのブログ:今日はチェス曜日より抜粋

こういうこともあったようで、指し切りの試合でもFIDEの公式ルールでは、単純に時間切れで負けることを回避できるようになっているようです。

個人的な意見を言うと、上達したいのであれば、安易なドローオファーはしないことです。上位者相手に駒得の局面の時にオファーすれば、ドローを受けてくれるかもしれませんが、もう少し考えたら勝てたかもしれませんね。勝とうと思って指し続けたら負けることもあると思いますが、それも経験です。合意ドローは、得られる経験値が確実に減りますので、よく考えることです。

ちなみに、明らかな拒絶の意思を示している相手(特に上位者)に対して、もしくは、自分が負けている局面で、繰り返しドローオファーをすることは、見苦しいですし、それこそ失礼な行為に受け取られる可能性があるので、注意してください。

まとめ

無駄にゲームを長引かせ、時間や体力、気力を消耗しないように、リザインやドローオファーというルールがあるわけですけど、このような手段は、はっきり結果が見えたときに行使するべきです。初~中級者までは、そもそもちゃんと結果が見えていないことが多いので、これらの手段を行使する前によく考える必要があります。そういう意味では、私自身は投了するのがやや遅めですし、引き分けのオファーを蹴って、負けたことも多いですけどね(苦笑)

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