エンドゲームの参考書
今回は、今更聞けないシリーズではなく、エンドゲームの参考書を少し紹介しようと思います。
将棋とチェスが一番違うところを挙げるとしたら、やはりエンドゲーム、終盤だと思います。将棋の解説などでも終盤という言い方はすると思いますが、将棋で言う終盤は、相手の王様への直接的な攻撃、つまり寄せですが、チェスの終盤は、「ポーンをいかに昇格させるか」に重点が置かれ、ちょっとパズルのような感じです。
相手との棋力差がある場合、試合をしても、終盤までにほぼケリが付いていることが多く、なかなか終盤を勉強しようという気にならないものです。ただ、試合経験を積むうちに、上位者に序盤や中盤で有利に戦っていたのに、終盤で勝ちきれなかった、あるいは、逆転で負けてしまった、と言うことが必ず起きてくると、やはり終盤も勉強しないと、と言うことになります。
中には、序盤やタクティクスの勉強をする前に、エンディングの勉強をしろ、と言う人もいるくらいで、実際、渡辺暁さんの著書、「渡辺暁のチェス講義」では第1部で終盤を扱っていて、ルックエンディングに重きを置いた内容になっています。また、水野優さんが和訳した「終盤の基礎知識 (チェス・クラシックス 4)」(絶版?)、「終盤の300題 (チェス・クラシックス 7)」などは日本語で読め、内容も優れているので、こういう本を読むのも手かと思います。なかなか読むだけではものにするのは難しいので、問題形式のものを使って実践も行いながらがいいかなとは思います。
英語が読める人には洋書を読むという選択肢もあります。かくいう私は、英語はある程度読めますが、話すのはからっきしで、海外大会にも出たこともありませんが、チェスの本は図と棋譜、ある程度決まった表現なので、なんとかなります。
第一に必読書とされているのは、IM Silmanの著書、「SILMAN’S COMPLETE ENDGAME COURSE」です。この本の特徴は、レイティングのレベル別(ビギナー、E~A、エキスパート、マスターの8段階別)に章が構成されており、棋力に応じた内容を勉強できることです。気になるところは、本が重くて携帯には不便なのと、やや独特のレイアウト、表現があるように思います。自分レイティングに合わせた項を読みたくなりますが、最初の方には、基礎的でも必要なことが書いてありますし、ある程度の経験者の人でも、全体的に読むことをおすすめします。全くの初心者の方でも、最初から読めば、どうやってチェックメイトにするかもわかりますし、英語さえ抵抗感がなければ、良書なのは間違いありません。ちなみにSilmanは現在日本に家を買って住んでいらっしゃるようなので、そのうち指導を受けられる、なんとこともあるかもしれませんね!
私が昔買ったのは「100 Endgames You Must Know: Vital Lessons for Every Chess Player」という本(今は新版が出ており、私が持っているのは旧版の方です)で、これはテーマ別で文字通り100のパターンについて解説しています。100とは言っても、本自体は250ページほどで、思ったほど分量がなく、応用問題などもそれぞれにあり、ぱっと見、Silmanの本よりは、全体に取っつきやすい感じです。ただ、内容的には最初から結構難しい感じなので、初心者の方が最初に読むには向いていません。一通りのことをして、棋力が伸び悩んできたときに手に取るのにいいかもしれませんね。
本の紹介は以上ですが、エンドゲームの本はそんなに何冊もいらないので、1冊とりあえず性に合いそうなのを買って、繰り返し読むのが大事でしょうか。
公式戦の時は、終盤にかけて持ち時間がなくなります。場合によっては、加算分の数十秒で指さないといけなくなる時もありますが、そのときに終盤の知識があるとないのではだいぶ違います。また、駒の少ない局面では、それぞれの駒の特性、手の意味などが勉強しやすいのでは、と思いますので、チェスの勉強をする際に、オープニングばかりやるのではなく、少し終盤の勉強にも時間を割くようにした方がいいです。
そういう私も終盤で怪しくしてしまう試合も多いので、頑張って勉強しようと思います。
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