シシリアンディフェンスの一変化
今日は、2013年に行われた世界チャンピオン決定戦の予選(FIDE Candidates London)で、Carlsen, Magnus対Gelfand, Borisの試合を載せます。白番のカールセンが勝った試合ですが、Sicilian Defenceで3.d4としない変化を使っています。
1.e4 c5 2.Nf3 Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 e5 6.Ndb5 d6とする変化は、Sveshinikov variationと呼ばれますが、自分も含めて苦手としているプレイヤーは多く、これを避ける目的で、3.Bb5とする変化がトッププレイヤーの間でも指されることが多くなったように思います。
□Carlsen, Magnus(2872)
■Gelfand, Boris(2740)
FIDE Candidates 10R 2013.3.27
1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 e6 4. O-O Nge7 5. Re1 a6 6. Bf1[ここでは、Bxc6もあります。白はすでにキャスリングを終え、e4のポーンをルークで守っているのがミソです。]
6. … d5 7. exd5 Nxd5 8.d4 Nf6 9. Be3 cxd4 10. Nxd4 Bd7 11. c4[クイーンサイドのポーンの多さを生かして抑えに行きます。]
11. … Nxd4 12. Bxd4 Bc6 13. Nc3 Be7 14. a3 a5 15. Qd3 O-O 16. Rad1 Qc7 17. Be5 Qb6 18. Qg3 Rfd8[ここでQxb2はもちろん、Nd5です。]
19. Rxd8+ Qxd8 20. Rd1 Qb6 21. Bd4 Qb3 22. Rd3 Qc2 23. b4![このポーンはビショップで取れません(Bxf6があるため)。]
23. … axb4 24. axb4 Nh5 25. Qe5 Bf6 26. Qxh5 Bxd4 27.Rxd4 Qxc3 28. Qa5![23.b4があったため、この手が可能になりました。クイーンサイドでの白の優位がはっきりしました。]
28. … Rf8 29. Qb6 e5 30. Rd1 g6 31. b5 Be4 32. Qf6?! h5?[ここでは32. … Bf5!が良かったようで、以下、33.Rd5 Be6 34.Qxe5 Qxe5 35.Rxe5 Rc8 36.c5 Kf8 37.Bd3 Bd7! この後f6で白のルークを追い払えば、ポーンが落ちます。]
33. h4 Bf5 34. Rd5 Qc1 35. Qxe5 Be6 36. Rd4 Ra8 37. Qe2 Kh7? 38. Rd1 Qc3 39. Qe4 Ra1 40.Rxa1 Qxa1 41. c5!+- Qc3 42. Qxb7 Qe1!? 43. b6! Bc4[f1のビショップは取られてしまいますが…]
44. Qf3! Qxf1+ 45. Kh2 Qb1 46. b7 Qb5 47. c6 Bd5 48. Qg3[ポーンの昇格が止められません。] 1-0
シシリアンディフェンスはどうしても白はキングサイドから黒はクイーンサイドからという感じで、攻め合いになったり、タクティクスが決まって、派手な試合になることが多いですが、こういう指し回しもあるという一例でした。
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