Carlsenはピースダウンしてもなお強し
現在行われているTata Steel Mastersで、世界王者Carlsenの試合がちょっと話題になりました。
第8ラウンドでGawain Jonesと白番で対戦したCarlsenは、ブランダーでピースダウンしたのですが、その後、巻き返して見事勝利。Carlsenが強いとはいえ、相手も著名なGMであり、逆転は困難だったはずですが…。
試合を見てみましょう。
□Magnus Carlsen(2834)
■Gawain Jones(2640)
2018.1.21 Tata Steel Masters(8)
1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 g6 6. Be3 Bg7 7. f3 Nc6 8. Qd2 O-O 9. O-O-O d5[ドラゴンバリエーションのYugoslav Attackですが、白がBc4としないので、d5が成立します。感覚的に好きではないラインなので指したことはないです。] 10. Qe1 e5 11. Nxc6 bxc6 12. exd5 Nxd5 13. Bc4 Be6 14. Kb1[ここまではデータベースに載っている変化で、白の勝率がいいですが、形勢はほぼ互角でしょう。] 14. … Re8 15. Ne4 f5N[Gawainは15秒で指したというので、準備していたと思いますが、新しい手です。] 16. Ng5 Bc8 17. g4??[明らかなミスですが、こういう間違いはGM同士でも起きます!17.h4 a5 =]17. … f4 18. h4 fxe3 19. Qxe3 h6 20. Qc5!?20. … Bb7 -+[20. … hxg5 21.Qxc6 Be6 22.Bxd5 Bxd5 23.Rxd5 Qb6 はまだ黒が良さそうですが、黒が勝つのは大変そうです] 21. Ne4 Re6?![d5のナイトとe6のルーク、g8のキングが白マスビショップの斜線上にあり、やや不安定な形になりました。] 22. h5 Qb6?[g5としておけば比較的安全でした。] 23. g5!23. … hxg5[Qxc5?は24. Nxc5 Re7 25. Nxb7 Rxb7 26.Rxd5! +-] 24. Qa3[黒はピースアップですが、黒のマイナーピースは守りのみに働いている状態で、キングサイドのポーンも崩されているので、クイーン交換は避けるべきです。] Rb8 25. b325. … Qd8?![25. … gxh5 26.Rxh5 Rg6 = a7のポーンを取らせてはいけませんでした。] 26. Qxa7 gxh5 27. Rxh5 Rg6 28. Rxg5! Rxg5 29. Nxg5 Qc8 +-[いつの間にか黒のキングは丸裸、ピースも全く使えておらず、ここまで来れば白勝勢です!] 30. Rg1 Ra8 31. Qb6 Ra6 32. Qc5 Qd7 33. Ne4 Kh8 34. Qf2 Qe7 35. Bxa6 Bxa6 36. Qh2+ Kg8 37. Qh6 Qa7 38. Qe6+ Kf8 39. Rg5 Ne3 40. Qd6+ Kf7 41. Nc5 Bc8 42. Rxg7+ 1-0
世界チャンピオンの試合ですから、自分たちのレベルとは比較にならないのですけど、駒得すると残りの駒をさばいて、早く単純化したくなるため、相手の狙いに関して読みが浅くなるものかなと思います。チェスエンジンを走らせながら検討してみましたが、相手が緩手を指したときのカールセンの手が正確無比なので、驚きました。もし、カールセンと自分が対戦できるとしたら、どれくらいのハンデをもらえばいいのでしょうかね。ルーク1個くらいもらわないと無理かも!?
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