World Chess Legends 2017
全日本チェス選手権以来、公式戦に出ていないのですが、今日は、現在スペインで行われているWorld Chess Legends 2017を紹介します。
一般の参加者向けの大会も行われていますが、目玉は4人のレジェンドプレイヤーを招待して、ラピッドとブリッツの試合を行うことです。
- Anatoly Karpov(GM 2626)
- Jan Timman(GM 2577)
- Zoltan Ribli(GM 2527)
- Ljubomir Ljubojevic(GM 2571)
以上の4人で、すでに65歳を過ぎていますが、かつて活躍したGMたちで、特にKarpovは1975年から1985年、および、1993年から1999年までの長期間、FIDEの世界チャンピオンだったプレイヤーです。160を超える大会で優勝し、チェスの歴史上でも、最高のプレイヤーの一人と言われています。Kasparovと世界チャンピオンを争ったときの死闘も有名です。
今回はそのKarpovが1RでいきなりTimmanに負けてしまった試合を紹介します。ちなみにTimmanはオランダのグランドマスターで、1993年には世界選手権でKarpovに敗れていますが、数回世界選手権の候補者にはなり、「非ソビエト」のプレイヤーであった彼は、当時西側の最高のプレーヤーと認知されていました。
□Timman, Jan H(2577)
■Karpov, Anatoly(2626)
World Chess Legends 2017 round 01
1. c4 Nf6 2. Nc3 e5 3. Nf3 Nc6 4. g3 Bc5 5. Bg2 d6 6. O-O O-O 7. d3 h6 8. a3 a6 9. b4 Ba7 10. Bb2 Be6[イングリッシュ・オープニングでもよく見られるセットアップです。] 11. Nd2 Qd7 12. Nd5 Ne8 13. Rc1 Nd8[ナイトが2枚とも8段目にいるという変わった形ですが、c6とポーンをつく、f5とポーンをつくなどの明確な狙いがあります。] 14. Nc3 Bh3 15. e3 Bxg2 16. Kxg2 Ne6 17. Ne2 c6 18. Nf3 Rd8 19. e4?[2手かかっていること、d4がアウトポストになること、f5に対して対応を迫られることなどからあまりよくないと思われます。19. c5 dxc5 20. Nxe5 Qe7 +=]19. … f5 20. Nh4 f4 21. f3 Be3 22. Rc2 Ng5 23. Nf523. … Rxf5[白の方がスペースに乏しく、展開が悪いので、こういうエクスチェンジ・サクリファイスはありだと思います。] 24. exf5 Qxf5 25. g4 Qe6 26. Nc3 d5 27. cxd5 cxd5 28. Bc1 d4 29. Bxe3 dxe3 30. Qe2-+ Nf6?![展開していないピースを展開するのは自然な手ですが、Qg6とポーンに当てておいて、次にNe6→Nd4を狙った方がよさそうです。] 31. Ne4 Ngxe4? 32. dxe4 h5 33. h3 Rd4 34. Rd1 hxg4 35. hxg4 Nd7? 36. b5?! Qd6 37. Rc8+ Kf7 38. Qa2+ Kg6?? 39. Rxd4 exd4 40. Re8 Kf6 41. g5+?? Kxg5 42. Qf7 g6??[Qg6しかありませんでした。] 43. Re6 Ne5 44. Qf6+ 1-0
中盤まではKarpovらしいポジショナルプレイが見られましたが、30手目以降は時間切迫だったのか、ブランダーの応酬となり、最後はTimmanの勝利となりました。現在、大会は4ラウンドまで進み、Timmanが3ポイントでリードしています。まだ、ブリッツも含めて8ラウンド残っていますから、結果はわかりません。
我々の世代にとっては、まさにレジェンドプレイヤーであり、彼らのプレイがこうやって今見られるのはうれしい限りですね。興味があったら、chess24.comやChessBomb.comで中継もされていますので、のぞいてみてはどうでしょうか。
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