将棋とチェスの違うところ
チェスを語る上で、少なくとも日本では、将棋の話が欠かせない感じですが、自分なりに感じることも含めて、書いてみます。
そもそも、将棋とチェスは同じゲームをルーツとしていると言われています。それが紀元前インドのチャトランガというゲームらしいですが、どういう経路で日本に伝わって将棋になったかははっきりしていません。こちらは私より将棋界の人の方が詳しいでしょうが、東南アジア経由説や中国経由説があるようです。どちらにせよ、駒の動かし方や基本的なルールで、両者に類似点があるのは当然かと思います。
両者の違う点を列挙すると、
- 駒数、盤面の大きさ
- とった駒が使えない(使える)
- 引き分けが多い(あまりない)
- キャスリングやアンパッサンなどの特殊な動き
- 駒の昇格の仕方
くらいでしょうか。以前カスパロフ氏(元チェス世界チャンピオン)と羽生さんが2014年の電王戦の特別企画後に対談したときに、両者の違いについてカスパロフ氏は『将棋は守りが複雑なので、実際にはさせないが、詰将棋ならできる。似ている部分(桂馬の動きなど)がかえって混乱してしまう』、羽生さんは『将棋だと高い位置(相手の陣地側)に王(キング)が行くと安全になるのに対し、チェスでは危険になるので、混乱します』と述べています。
また、最近話題になった将棋のカロリーナ・ステチェンスカ女流2級は「チェスと違って、取った駒が使えるのがおもしろい。終盤がとてもダイナミックです」と述べています。
自分は、将棋はちょっと知っている程度なのですが、やはり大きな違いを生むポイントは取った駒が使えるかどうかにありそうです。将棋でいう終盤戦は、チェスでいう中盤がずっと続いているような(要するに終盤戦がない)イメージで、基本的に相手の玉を攻め切って終了なわけですけど、チェスの終盤はなくなった攻め駒を補うために、ポーンの昇格が重要になるため、将棋にはない独特な感性が必要と思います。終盤に不利な場合、引き分けを目指して戦う、というのも変わっていますかね。ちょっとパズルのような感じでもあります。
あと、引き分けが多い、というのは駒が減っていくので当然ですが、合意による引き分け、はチェスに独特です。実力も互角、局面も互角で進展が期待できない場合、争いを続けるのは合理的でないので、選択肢があるのはいいことと思いますが、初中級者の方には、むやみに引き分けにしないでさすことをオススメします。最後まで指すことは(特に終盤などの)勉強上大事ですし、せっかくの勝ち筋を逃すことも大いにありえます。上級者に対して、有利な局面になると、思わず引き分けでいいや、となりそうですが、そこはもう1回よく考えることです。ちなみに、自分があきらかに不利な局面や相手が拒絶している場合に、理由もなく、引き分けのオファーを繰り返すことは、失礼な行為と取られる可能性がありますので、注意が必要です。
いかがでしょうか。あとは実際両方をプレイして見て、あなたなりの評価を構築して見てください。
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