スイス式トーナメントの概要

スイス式トーナメントの概要

大会に参加して、ペアリングのソフトの話題が出ていたのもあり、今回は「スイス式トーナメント」について概要を書こうと思います。ちなみに私は、JCA、FIDEともに正式の審判資格などは持っておりませんし、熟知しているわけではないので、間違いがあってもご容赦ください。

チェスに限らずですが、1対1で対戦するゲームで、ある程度の人数が集まって大会で順位を決める場合、一番公正な方法は総当たり(ラウンドロビン式)だと思います。ただ、それだと総人数ー1のラウンド数が必要となりますので、60人が参加するような大会では実用的ではありません。また、ノックアウト(勝ち抜け)方式もあり得ますが、それだと、強い人以外は途中で大会終了となり、順位を決めたり賞金を配分するにはいいにしても、あまり強くない選手にとっては、「すぐ負けて終わるのでつまらない」ということで参加するモチベーションが上がらない可能性があります。

スイス式トーナメントとは?

そこで出てきたのがスイス式。全員が同じラウンド数を戦い、順位を決めますが、

  • 同じ人とは二度と当たらない
  • ラウンド終了後に、得点ごとにグループを作って、原則同じ得点の者同士が当たるように試合を組む
  • 持ち色(白黒)についてはなるべく偏りがでないように組む

と言うのが基本です。

組み合わせの具体例

8人(A,B,C,D,E,F,G,H:レーティング順、括弧内はポイント数)でスイス式トーナメントをすると、1ラウンドの組み合わせは

ボード 白ー黒
1 A(0)-E(0)
2 F(0)-B(0)
3 C(0)-G(0)
4 H(0)-D(0)

と言った具合になります。上半分と下半分をそれぞれ順番に当てる感じですね。1ラウンドで勝ったのがA,F,C,Dさんとしますと2ラウンドの組み合わせは

ボード 白ー黒
1 D(1)-A(1)
2 F(1)-C(1)
3 B(0)-G(0)
4 E(0)-H(0)

同じ色が連続してしまう人がでますが、その場合は基本的に上位者を優先に配慮します。Cさんは1ラウンドで白でしたので、2ラウンドは黒とします。結果、Fさんは2回連続で白を持つことになります。3ラウンド目は省略しますが、3回連続同じ色は基本的にナシですので、相手によらず、Fさんは黒、Gさんは白で組まれることになります。

さて、引き分けがないと仮定すると、3ラウンドで全勝対決が実現することになり、最短で単独1位が決定する計算です。ただ、実際はそういう風に簡単にはいきません。

スイス式の適正な参加人数

さてここまで書いて、JCAのホームページに適正な参加人数が記述されていたので抜粋しますが、

回戦数を設定するために参加者数の予想を立てることは重要である。参加者15人を超えるのに4回戦というのは意味をなさない。
なお3回戦以下のトーナメントはスイス式とはいえない。5回戦8~12人、7回戦30~50人、(持ち色の偏りをきにしなければ6回戦13~30人)は理想的に優勝者を選出できる。2位を決めるには2回戦ずつ追加が理想的である。
全国大会13回戦は参加者30~40人の中から4位までを選出するに必要な回戦数で参加者100人迄耐えられる。

さて、直近のジャパンオープンは60人以上の参加者がありましたので、この論法で行くと、やはり8ラウンド位ないと理想的に優勝者は選出できないと言うことになります。15人以上では4回戦では意味をなさないとまでおっしゃっているので、現状をどう考えているのか?ですよねー。ただ、全国大会が13回戦と書いてあるので、かなり昔に書かれた内容だと言うことは理解できます。

スイス式トーナメントの利点、欠点

  • 総当たり方式に比べて少ない試合数で、比較的合理的に優勝者を決定できる。
  • ノックアウト方式に比べると1位以外の順位も比較的正しく算出できる。
  • 全員同じ試合数をこなせるので、選手全体のモチベーションが維持できる。

 

  • 抜き出たプレーヤーがいると最終戦が盛り上がらない可能性がある。
  • ラウンド数が少ないと、直接対決のない1、2、3位が生じたりする可能性もある。
  • 中間層の順位については、同ポイントの者が多くなる傾向があり、不正確。
  • 引き分け、波乱などにより、組み合わせが難しくなる可能性がある(近年はコンピューターソフトで自動的に組まれるので、トラブルは少なくなった)。

まとめるとこんな感じでしょうか。少なくとも日本では、全日本チェス選手権全国大会以外に、3日以上のトーナメントを実施するのはなかなか難しく、行えるラウンド数が限られていますので、スイス式はその点、優れた方式であるといえるでしょう。

 

 

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